はじめに

資格を取ろうと考えたとき、最初にぶつかる壁のひとつが 「独学で学ぶか、通信講座を利用するか」 という選択ではないでしょうか。
費用を抑えて自分のペースで進めたい人にとっては独学が魅力的ですし、効率やサポートを重視したい人にとっては通信講座が心強い味方になります。
ただ、資格取得の際に注意すべき点として、心理・福祉・医療・美容など一部の分野には、通信講座や指定校の修了が必須条件となる資格も少なくありません。たとえば看護師や理学療法士のような国家資格は法律で養成校の卒業が義務づけられており、独学では受験資格すら得られません。
この記事では、上記の注意点も踏まえて通信講座と独学のそれぞれの特徴を整理し、どんな基準で選べばよいかを解説していきます。
通信講座のメリット・デメリット
まず、通信講座のメリット・デメリットから解説していきます。
メリット
質問対応や添削指導が受けられる
独学では解決できない疑問が出たときも、講師や専門スタッフに質問できる体制があります。添削課題を通して「自分の理解度を客観的にチェックできる」点も大きな安心材料です。
学習教材の充実

近年の通信講座は、テキストと問題集だけではなく、スマホアプリやオンライン講義がセットになっているケースが多くなっています。通勤時間やスキマ時間に学習でき、進捗管理機能で「どれだけ進んだか」を可視化できるのも強みです。
私も「メンタル総合心理」を取得する際に通信講座を利用しましたが、テキストをスマホで見ることができたので、職場の昼休みを利用して学習を進めていました。
結果として予定よりも1ヶ月前倒しで受験できました。通勤や休憩時間などのスキマを活かせるのは、通信講座ならではのメリットだと感じています。
学習計画を立てやすく、モチベーション維持に強い
あらかじめカリキュラムが組まれているため、何から手を付ければよいか迷う時間を減らすことができます。また、提出課題や修了テストがあることで、適度なプレッシャーがモチベーションにつながります。
私が利用した通信講座では、はじめから学習スケジュールが組まれていたので、進捗が目に見えてわかることがモチベーション維持につながりました。
難関資格では効率が上がりやすい
簿記1級や宅建、社労士などの難易度が高い資格では、通信講座の解説や演習カリキュラムを利用する方が、合格までの近道になるケースが多いです。
合格率や学習効率の観点から、独学よりも優位になることがあります。
デメリット
数万円以上の費用がかかる
通信講座の大きなネックは費用です。資格の種類にもよりますが、数万円~十数万円と高額なものもあり、気軽には始めづらい側面があります。
また、費用と通信講座の内容やサポートが合っているかも、事前に確認する必要があります。
サポートを活用しないと割高感がある
質問サービスや添削指導があるのに、結局あまり利用しなければ「高い費用を払ったのに独学と変わらない」と感じてしまうこともあります。サポートをどれだけ活用できるかが費用対効果を左右するでしょう。
教材や進め方が固定されやすい
あらかじめ用意された教材やカリキュラムに沿って進めるため、自由に参考書を組み合わせたい人や、自分流で効率化したい人にはやや窮屈に感じることがあります。
通信講座の種類が複数ある場合には、教材の内容もそれぞれ違いがあるため、自分に合ったものを選択することが重要です。
通信講座は「サポート・教材・仕組み」によって効率や安心感を得られる反面、費用や自由度とのトレードオフがある学習法です。
独学のメリット・デメリット
次に、独学のメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット
費用を抑えられる
市販のテキストや問題集だけで学習できるため、基本的なコストは数千円~1万円程度で済みます。
私が実際に受験したFP3級や簿記3級のような参考書が豊富な資格であれば、安価で十分合格を狙えるでしょう。
自分のペースで進められる

カリキュラムに縛られず、自分のスケジュールや理解度に合わせて進められるのが強みです。忙しい社会人や、自分のペースで勉強したい人に向いています。
また、学習の途中でライフプランに変化があった場合、通信講座だと期限がありますが、独学であれば柔軟に対応できるのも良い点といえますね。
教材・アプリの選択肢が豊富
人気の参考書シリーズや過去問題集、最近は学習アプリや動画解説などもあり、自分に合う教材を自由に選べます。
効率的に学べる工夫を取り入れやすいのもメリットです。ただし情報量が多いので、自分に合う教材を選ぶリサーチが必要となるでしょう。
デメリット
質問できる環境がない
つまずいたときに講師へ質問できる仕組みがないため、理解できない箇所を放置してしまうリスクがあります。
SNSや学習コミュニティを活用する人もいますが、解決に時間がかかることもあります。
モチベーション維持が難しい

学習の進捗管理や課題提出といった“強制力”がないため、継続が難しく、途中で挫折する人も少なくありません。特に長期戦の資格試験では自己管理が鍵となります。
勉強のモチベーション維持方法は、私が実践していることをまとめた記事もありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
コストが積み重なる場合がある
「独学=安い」とは限りません。模試や追加問題集、最新の教材を次々に買い足すと、結果的に想定以上の費用がかかるケースもあります。
費用面を理由に独学を選んだ人ほど、このギャップに戸惑うことがあります。
独学は「費用を抑えて自由に学びたい人」には適していますが、自己管理力や情報収集力が問われる学習スタイルです。
独学不可・通信講座修了が必須の資格ジャンルとは?
資格の中には、そもそも「独学では受験資格を得られない」ものがあります。
心理・福祉・医療・美容分野に多く見られ、法令や制度で養成課程の修了が必須と定められている資格や、民間団体が通信講座修了を認定条件にしている資格が主な代表例です。
心理・カウンセラー系(民間資格)

通信講座修了が必須なケース
- メンタル心理カウンセラー
- 上級心理カウンセラー
- メンタル総合心理
いずれも「指定通信講座の修了」が資格認定条件。独学で勉強しても資格は取得できません。
心理資格は学習内容が幅広く、ケーススタディや添削課題が必須なため、講座形式が前提になっているようです。
福祉・医療系の国家資格

法令で養成校が必須
- 看護師
- 介護福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
「厚生労働省が指定する養成施設・学校を卒業」しなければ受験資格を得られません。独学で知識を積んでも、国家試験自体を受けられない点が特徴です。
美容・医療関連資格

指定校ルートが必須
- 美容師
- 理容師
- 柔道整復師
- 鍼灸師
実技を伴う分野は特に「学校修了」が義務付けられています。美容師国家試験も、厚労省指定の専門学校を卒業していないと受験不可です。
- 国家資格:法令で「指定養成校修了」が定められているため、独学不可
- 民間資格:団体が「通信講座修了」を認定条件にしているケースが多い
- 傾向:心理・福祉・医療・美容分野は「必ずスクール・講座を通る」仕組みが一般的
つまり、すべての資格が「独学 or 通信講座を自由に選べる」わけではありません。
資格の種類によっては、最初から学習ルートが決まっていることを理解しておくことが重要です。
独学で挑戦しやすい資格/通信講座が有利な資格
資格の中には、独学でも十分合格を目指せるものと、通信講座を活用したほうが効率的なものがあります。ここではその代表例を紹介します。

独学で挑戦しやすい資格
FP3級
家計・保険・年金など日常生活にも直結する内容が多く、参考書や問題集も充実しているため、独学でも十分合格可能です。
私自身も独学で学習を進めており、実際の勉強法や教材レビューもブログで紹介しています。
簿記3級
会計の入門資格であり、参考書・問題集・YouTube解説動画まで豊富です。初学者でも独学で合格を目指しやすい資格の代表格といえます。
ビジネスマネジャー検定
東京商工会議所が行っている、企業の管理職やリーダーに求められる基礎的な知識を幅広く問う試験です。企業によっては昇格するために必須としているところもあるようです。
難易度はそこまで高くなく、公式テキストや過去問で独学しやすい資格のひとつです。私も独学で合格し、体験談を記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
これらの資格は 学習範囲が基礎的で教材が揃っているため、独学派におすすめ です。
通信講座が有利な資格
心理系資格(例:メンタル心理カウンセラー/上級心理カウンセラー)
心理資格は「通信講座修了」が認定条件となるケースが多く、独学では資格取得が不可能です。
私も通信講座でメンタル心理カウンセラーと上級心理カウンセラーを学びましたが、添削課題やケーススタディを通じて実践的に学べたのは通信講座ならではのメリットでした。
簿記1級・2級
範囲が広く内容も高度なため、独学で挑戦する人もいますが合格率は低め。通信講座や予備校を利用して計画的に学んだほうが効率的です。
全く簿記に触れたことがない方は、まず簿記3級から学習することをおすすめします。
宅地建物取引士(宅建)
毎年多くの受験者がいる人気資格ですが、法律用語が難しく独学では挫折する人も多いです。通信講座を使えば効率的に学習を進められ、合格までの最短ルートになります。
不動産業界では法律で一定数の設置が義務付けられているため、この資格は常に需要があるようですね。
社会保険労務士・行政書士
いずれも難関資格で、法律や労務に関する専門的な知識が問われます。合格率が低いため、通信講座を使って学習効率を高める受験生が多いのが現状です。
これらの資格は 難易度が高く、サポートやカリキュラムを利用したほうが合格率が上がるもの といえるでしょう。
まとめ
通信講座と独学には、それぞれにメリットとデメリットがあります。
通信講座は質問対応や添削、学習アプリや動画講義といった充実したサポートを受けられる反面、費用や自由度の面で制約がある学習スタイルです。
一方、独学はコストを抑えつつ自分のペースで学べる魅力がありますが、モチベーション維持や疑問の解消には工夫が求められます。
また、心理・福祉・医療・美容分野のように、そもそも通信講座や指定校修了が必須で、独学では取得できない資格も存在する点は見落とせません。資格ごとに学習ルートが制度として決まっているケースもあるため、事前に確認することが大切です。
そのうえで、どちらを選ぶかは「費用」「難易度」「自分の性格(計画管理や伴走サポートの有無)」といった基準で判断すると、後悔しにくいでしょう。

大切なのは、自分に合った学習スタイルを選び、資格取得を確実に前進させることです。通信講座でも独学でも、工夫と継続次第で合格は十分可能です。
あなたにとって無理なく続けられる方法を見つけ、資格取得への一歩を踏み出してみてくださいね。
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